ヤワラートのソイナナで注目を集める 中華スタイルBar『Ba Hao』

ヤワラートのソイナナで注目を集める 中華スタイルBar『Ba Hao』

 

華僑が作り上げたバンコクの中華街ヤワラートは、東南アジアに点在する中華街の中でも最大規模だという。八角など中華香辛料の香り、疾駆するトゥトゥクの排気音、古色蒼然としたビルディングの数々、路上でガラクタのお宝を得る人々などが混然一体となり独自の世界観を作り上げています。
東南アジア特有の雑多感に、中華スパイスをどっさりとぶっかけたような街。
私はそんなヤワラートを「バンコク唯一のカオス」と表現しているのですが、そういったカオス感や雑多感を嫌悪し「ヤワラートは汚くて嫌い」と言う方もおられるようです。
そのようなケッペキショウの人たちが近寄らずともこの街に魅かれる者は後を絶たず、私もその一員。旨い店を探し求め、陽光が届かぬ薄暗い路地を彷徨しています。

新スタイルの店が集まるヤワラート ソイナナ

バンコクに中華街が現れたのは、1767年にタクシン王がトンブリーに都を構えたころ。中国人商人たちはトンブリーの反対側、現在の王宮(ワットプラケオ)のあたりへと次第に集まるようになり、初期の中華街を形成していきます。
その後、ラーマ1世(在位1782年〜1809年)が都を川の東岸に移したことにより、中華街はやむなく移転。移転先として選ばれたのが現在の場所です。
ヤワラートの東西を走るヤワラート通りの開通が1898年と言われているので、現ヤワラートの歴史は150年前から始まったといえるでしょう。
創業100年を超えるような超老舗食堂が点在する街だけに、古き良きものが守られているのですが、逆を返せば新しいものが生まれにくい。
そういった風潮が強いヤワラートに、独自コンセプトを掲げたBarやレストランが出現し始めたのは2〜3年ほど前、場所はソイナナと呼ばれるエリアです。
強い個性を前面に押し出したそれらの店はSNSで拡散、また各メディアで取り上げられ、ヤワラートの新スポットとして人気を博すようになっていきました。

中華のテイストを取り込んだBar『Ba Hao』

ソイナナはヤワラート通り東端にあるロータリーから北に位置する一角。以前、本サイトで紹介した『TEP BAR』もソイナナにあるバーの1店舗です。
『TEP BAR』ではヤードーン(ยาดอง)というタイのハーブ酒を出し、タイ伝統音楽をライブで流すなど、他のバーにはない特色を出し差別化に成功。他バーも同様で個性のある店舗が多く、ソイナナが注目を集めている所以です。
ソイナナで『TEP BAR』に続き私が惹かれたのは、角地に建つ『Ba Hao』というバー。ロゴには店名の漢字の「八號」が描かれ、店内の各所に配置されているグッズは中国のものばかり。店全体のコンセプトに「中華」を据えつつ、オリジナリティをふんだんに盛り込んだ中華スタイルのバーに仕上げています。

ヤワラート通り東端のロータリーにある牌門。1999年、ラマ9世国王72歳の記念に建てられたものです。

6人の手で作り上げた『Ba Hao』のコンセプト

『Ba Hao』を運営するのは6人のタイ人たち。我々のインタビューに応えてくれたのは、オーナーの1人であるブアです。

「私たちは学生時代からの友達で、一緒によく遊んでいるので、何かをやろうかという話になったのがきっかけです」

友人の一人がヤワラートにある物件を見つけたことにより、『Ba Hao』が動き始めました。
築数十年経っている4階建てタウンハウスは、1階をバー、2階から上階をゲストハウスにすることで決定。
6人の運営者の中には建築家、グラフィックデザイナー、フードスタイリストという顔ぶれが揃っているので、ロゴの制作、店内の構成やデザインなどのほとんどを自分たちで作り上げたといいます。
建築物自体は古きものをそのまま利用し、ヤワラートの街並みに融和させつつ、これまでなかった新しいスタイルを提案する。
彼らが世に送り出した『Ba Hao』はタイ人だけに留まらず、欧米人にも受け容れられるようになり、上階のゲストハウスはWeb版VOGUEに取り上げられるまでに至りました。

インタビューに応じてくれたブアさん。

2階より上の宿泊施設は、Agodaなどの予約サイトには掲載していないのだとか。

『Ba Hao』を運営するのは6名。取材日には3名の方がお店に。

店名の由来と「8」へのこだわり

『Ba Hao』がオープンしたのは2017年3月。店名はどういった由来を持っているのか。

「『八號』とは8番を意味しています。実はこのビルの住所が8番。なので、そのまま八號を使おうと思いました。八號は英語表記にすると『Ba Hao』になるんです。あと、8という数字は中国人にとっていい番号でもありますので」

『Ba Hao』の8に対するこだわりは店名だけにとどまらず、メニューの価格にも反映。料理、ドリンクメニュー料金の末尾はすべて「8」で統一し、サービスチャージ料を10%ではなく8%に設定するほどの徹底ぶりです。

建物の「味」を生かしながら中華スタイルを出しています。

小物にもこだわりを。

漢方薬入りのカクテルを考案

ヤワラートを歩いていると、どこからともなく漢方薬の香りが流れてきますが、『Ba Hao』のカクテルにもその”ヤワラートの香り”とも言うべき漢方薬が使われています。
以下で紹介するOpiumというカクテルには漢方で使われるトチバニンジンを入れ、店のコンセプトに合わせた独創的なカクテルに仕上げています。

Opium

「ネグローニ」にトチバニンジンを入れたカクテル。氷が溶けて薄まったら、ショットに入った原液を入れて濃くすることもできます。

 

Drunken Mistress

レイシジュース、梅、八角の実を入れたジンです。味は甘く女性にお勧め。

 

『Ba Hao』の料理メニュー

お酒と共に楽しめる食事メニューを考案したという中華系料理の数々。料理には一切化学調味料を使わずNO MSGを掲げています。

Soft tofu

酸味の効いたソースでいただく豆腐。ヒータンが添えられています

Duck Wontons

アヒル肉を使ったワンタンにごま油で風味を。お店の人気メニューです

Ba Hao Pudding

豆乳を使ったプリンです

 

Barを飲み歩きたい方にはおすすめしたいヤワラートのソイナナ

カクテルに漢方薬が入っていると、飲めば飲むほど元気になるんじゃないかと考えるのは酒飲みの身勝手な憶測でしょうが、独特の風味は好みだし、店の雰囲気も良く、お気に入りのBarです。

『Ba Hao』をはじめ『TEP BAR』など、ソイナナには個性派の店が多く、私のような飲み歩き好きにはたまらないエリア。まだまだ紹介したい店があるので、これからもソイナナは取り上げていくつもりです。

さて、記事の執筆も終わったことだし、今宵もソイナナで飲み歩こうかしら。

【SHOP DATA】
「Ba Hao(八號)」
TEL:064-635-1989
OPEN:18:00-24:00
ADDRESS:8 Soi Nana, Maitri Chit Rd., Pom Prap, Pom Prap Sattru Phai
PRICE:Soft Tofu 158B、Duck Wontons 248B、Opium 288B、Drunken Mistress 288B、Ba has’s Pudding 148B
Website:https://www.ba-hao.com/
Facebook:@8bahao
Instagram:8bahao

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西尾康晴(Yasuharu Nishio)の画像

西尾康晴(Yasuharu Nishio)1974年生まれ大阪府出身。大阪と東京で雑誌編集者として勤務し、2011年にタイへ移住。バンコクで月刊誌の編集長を経て2017年4月にタイ国内旅行会社TRIPULL(THAILAND)Co.,Ltd.を立ち上げる。TRIPULLのほか、バンコク発タイ料理グルメ情報サイト「激旨!タイ食堂」を運営。 Twitter:nishioyasuharu

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