タイのハーブ酒 ヤードンに溺れる ヤワラートのTEP BAR(テップバー)

タイのハーブ酒 ヤードンに溺れる ヤワラートのTEP BAR

21時を超えたあたりから、MRTホワランポーン駅を上がったラマ4世通り沿いで、路上にゴザを敷き、ソムタムを作るクロックやら野菜を並べて、即席の飲み屋が開店。
しかも1組や2組ではなく、多いときは10組ほどがゴザ飲み屋を開き、客を受け入れています。
飲み屋といっても揃えている酒の種類は少なく、ビールやウィスキーといった定番はどの店にもありません。
彼女たちが持っているのは、自家製のヤードン(ยาดอง)という酒のみ。
美しい赤色に染まったこのヤードン、焼酎のラオカーオにスアシップエットトゥア(11匹の虎)という薬草を漬け込んだことだ薬草酒です。
独特のクセがあり、好き嫌いが分かれるヤードンですが、慣れてくるとなんとなく旨く感じてくる。
とある方はヤードンでは二日酔いしないと言いますが、私はまったく逆で、飲んだ翌日は他アルコールに比べ二日酔いがきつい。
それが分かっていても飲み始めたら止まらなく、クイクイとグラスを空け、翌日は二日酔いで目を覚ます羽目になるわけです。

タイのハーブ酒 ヤードンを置く『TEP BAR』

ゴザ飲み屋で提供しているヤードンは自家製の酒ですので、もちろん違法。
というか、路上で飲み屋を営業していること自体が違法なので、ときおり警察が取り締まりに来くることもあり、そのときはみなさんさっさと道具を撤収し、逃げるようにご帰宅されるのが常です。

ゴザ居酒屋から歩くこと5分ほど。
ヤワラートのナナ通りに『TEP BAR』というバーが2015年にオープンしました。
細い通りの最奧という、人に見つけられることを避けているかのような場所に立地。
この『TEB BAR』には、私がゴザ飲み屋で呷っていたヤードンをはじめ、他ではお目にかかれないようなタイの酒を扱っている珍しいバーなんです。

黒い大きな扉が待っています

ジャズバーのような雰囲気

2階席ならグループでも可

タイ楽器を揃え、毎晩ライブ演奏も披露

扉を開くとまず目に飛び込んでくるのは並べられたタイ楽器の数々。
『TEP BAR』では毎晩、これら楽器を使ってタイ伝統音楽のライブ演奏が開かれ、お酒や食事とともに楽しめるようになっています。
どういう趣旨を持ってオープンしたのか、オーナーの1人であるアートさんに話を伺いました。

「タイの伝統的な音楽を聴きながら、タイの伝統的なお酒をいただける。そんなお店を目指し、知人たちと私との3人で『TEP BAR』を始めました」

サイアムやアソークといった新しい街ではなく、ヤワラートを選んだのも古くからの雰囲気を残しているためだと言います。
しかも彼女たちが選んだのは、築90年以上という物件。
刻み込まれた何十年という時は『TEP BAR』の「味」となり、店は新しくとも長年営業しているような風格さえ感じさせてくれます。

演奏しているのは、アートさんの母校チュラロンコン大学や、シーナカリンウィロート大学などの学生たちだそうです

スタッフは英語も話せます

ヤードンの他にもある珍しいタイのお酒たち

先にも書いたように『TEP BAR』にはヤードンがある珍しいバー。
そのうえヤードンは3種類あり、すべてをショットグラスでいただけるセットメニューまでありました。
『TEP BAR』のヤードンに漬け込まれているのはスアシップエットトゥアだけではなく、いろんな薬草が入っており、3種類それぞれでも漬け込んでいる薬草は異なっていると言います。
まず黄色のヤードンの名前は「プラ ア パイ マニー(พระอภัยมณี)」。
漬け込まれているグラチャイダムの葉っぱ(ใบกระชายดำ)が体調を整える働きを持っています。
赤色のヤードンは「ラシャシー カム ラーム”(ราชสีห์คำราม)」で精力アップ!
黒色のヤードンは「ガーギー(กากี)」といい、女性の生理不順などに効用があると言います。
ヤードンはいろんな効用があることから「タイの養命酒」と命名している方もおられるようです。
上手いこと例えるなぁと感心いたしましたが、ゴザ飲み屋で出しているヤードンは1つの薬草しか漬け込んでいないから、養命酒にはなっていないと思いますが…。

『TEP BAR』にはこれらヤードンだけではなく、ウ(อุ)やサートー(สาโท)といった他でお目にかかったことのない酒もあるんです。
ウはもち米とルークペン(米、小麦粉、ハーブを丸めた団子)を熟成させたお酒。
サートーはタイ中部やイサーン地方で飲まれており、もち米と砂糖を熟成させています。
ヤードン3杯で十分酔っ払いますが、珍しい酒が飲めるなら注文しないわけにはいきません!

ヤードンの3種セット

サートー(สาโท)

ウ(อุ)

『TEP BAR』おすすめの食事メニュー

食事メニューもご紹介しておきましょう。
『TEP BAR』おすすめの3品を出していただきました。

カオクリアンワウナンプリックパオ(ข้าวเกรียบว่าวน้ำพริกเผา)

バンコクから車で地方へ行くと、ときおり見かける米のせんべい。
これにナンプリックパオを付けていただきます。
パリパリっとしていますが、口に入れると溶けるようになくなる不思議な感覚。
口の中でもパリパリっとしたいんですが。

ムーサロン(หมูโสร่ง)

「ひき肉胡椒風味の麺包み揚げ」とも言われるタイ料理。
ひき肉を麺で包み揚げているのですが、麺の香ばしさとひき肉の食感が合います!

ラープトート(ลาบทอด)

ラープ(ひき肉の和え物)を揚げたイサーン料理です。
外はカリっと中はふんわり。
ヤードンに合うんです。

気軽に来店できて楽しめる『TEP BAR』

築90年以上の物件を使い雰囲気のあるバーに仕上げてはいますが、来店する方々は2〜4人の若いタイ人グループや欧米人で、会話を楽しみながら音楽とお酒を味わっているといった感じです。
タイの伝統音楽と、ヤードンやサートーといったタイのお酒。
『TEP BAR』だからこそ楽しめるこの2つを、心ゆくまで味わってください。

【SHOP DATA】
「TEP BAR」
TEL:098-467-2944
OPEN:17:00-24:00(日〜木曜日)17:00-01:00(金・土曜日)
ADDRESS:69-71 Soi Rammaitri, Maitrijit Road
PRICE:ヤードンの3種類セット350B、ウ250B、サートー150B
Facebook:@TEPBARTH

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西尾康晴(Yasuharu Nishio)の画像

西尾康晴(Yasuharu Nishio)1974年生まれ大阪府出身。大阪と東京で雑誌編集者として勤務し、2011年にタイへ移住。バンコクで月刊誌の編集長を経て2017年4月にタイ国内旅行会社TRIPULL(THAILAND)Co.,Ltd.を立ち上げる。TRIPULLのほか、バンコク発タイ料理グルメ情報サイト「激旨!タイ食堂」を運営。 Twitter:nishioyasuharu

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