みなさん寿司はお好きだろうか。もはやこれを日本人に聞くのは愚問かもしれない。では「SUSHI」はどうか。「寿司」ではない、「SUSHI」だ。「寿司」は好きでも「SUSHI」は好きじゃない、食べたことがないという人も少なくないはず。
冒頭から「頭の狂ったこと」を書いているとお思いの方が大半だろう。少し早まったことを書いている気がするので、落ち着いて説明していきたい。
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タイの屋台「SUSHI」
タイ在住者はもちろんの事、旅行で訪れた人でも、道端の屋台やナイトマーケットで寿司のようで寿司でないちょっと寿司っぽい食べ物を見た事がある人は多いのではないかと思う。ご飯の上にネタが乗っていたり、ご飯が海苔で巻かれていたりするので、これが何かと言われれば寿司に分類されるのだろうが、日本人としてはこれを日本の寿司として認めるのは抵抗があるはず。
なので私はこれを日本の「寿司」と区別するために「SUSHI」と表記する事にしている。本場のインドカレーと日本のカレーライスみたいな関係に近いかもしれない。
本記事では、ここ南国タイで独自の進化を遂げたSUSHIについて紹介したい。
SUSHIの特徴
ぱっと見ただけでもサイズ感や形などが日本の寿司と少し異なっている事は日本人なら誰でも分かると思うが、それ以外にもSUSHIの特徴といえるものがいくつかある。
マヨネーズ
寿司といえば醤油、SUSHIといえばマヨネーズ。タイ料理の調味料として使われる事はほとんどないマヨネーズなのだが、SUSHIではこれでもかというほどにマヨネーズが使われていることが多い。日本のお寿司でも回転寿司などではマヨネーズを使っているネタもあるが、ちょっとレベルが違うのだ。寿司よりもSUSHIの方が少しジャンクフード寄りかもしれない。
チーズ
日本の安い回転寿司チェーンなどで、ウニやイクラの回転寿司を食べようとするとネタよりもデカイ態度で居座るきゅうりに出会った事はないだろうか。タイではこのきゅうりの代わりにチーズが居座っていることがある。チーズがそこまで安い訳ではなく、チーズ有・無のネタがそれぞれあったりするためカサ増しのためにチーズを利用している訳ではないのだろうが、このチーズSUSHIは日本の安い回転寿司屋のカサ増し軍艦巻きにインスパイアされているのは間違いないだろう。
ハーフ&ハーフ
軍艦巻きの上に半分ずつ違うネタがのっているハーフ&ハーフのSUSHIも比較的よく売られている。登場回数が多いのはエビコと海藻がツートップとして君臨しているが、具材は店それぞれ。ハーフ&ハーフのSUSHIが食べたければ、遅めの時間に屋台に買いに行くのがオススメだ。これはあくまで私の推測だが、遅い時間になると余ったネタ同士でハーフ&ハーフのSUSHIが量産され、数と種類が増えるような気がしている。
ちなみにこの呼び名は私が勝手に命名したものなので、他では通用しない。
こりこりイクラ
屋台のSUSHIのイクラにだけはダマサれてはいけない。日本人なら大抵のSUSHIのネタは基本的に全て想像通りかそれに近い味・食感なのだがイクラだけは違う。SUSHIのネタとして使われているイクラは人工イクラが一般的なのだ。
噛むとこりこりした歯ごたえは粒の大きい数の子といった感じだ。そして新たな屋台を発見するたびにここのイクラは本物かもしれない、という期待を抱いて購入し毎度裏切られている。あのイクラの正体は一体何なのか…。
ダマサれてはいけないが、ダマサれたと思って是非一度は食べてみてほしい。
ありえないカラフルさ
料理といえば彩りが大事だ。タイの屋台のSUSHIは彩りのバリエーションが日本以上だ。例えば真っ赤な卵焼き、真っ青なイクラなど。食べるか食べないかは別として、日本人からすると恐ろしいネタがあるのも、SUSHI特有の魅力といえるかもしれない。なぜならここはアメージング・タイランド。
ちなみに控えめな日本人の私はこの彩りは目で楽しむだけにとどめている。
生魚を見たことははほとんどない
以上をご覧いただくと、日本の「寿司」と徹底的に異なっている点に気付くだろう。そう、生魚をネタにしている屋台はほとんどないのだ。魚介類がネタになるのは、炙りサーモン、しめ鯖、穴子、ボイル海老といった面々である。貝類で見たことがあるのはボイル帆立が唯一だ。
これこそ日本の「寿司」と大きく異なる点であり、「SUSHI」が屋台で常温販売できる所以だろう。
私的におすすめのSUSHIスポット
この記事を見てSUSHIが食べたくなったものの、どこへ行けば良いのか分からないという方のために私的SUSHIスポットを2つほど紹介したい。
ラムカムヘンナイトマーケット
以前の記事で行き方を紹介したラムカムヘンナイトマーケット、なぜだかこのナイトマーケットは他と比べてSUSHI屋台の数が多い。どこへ行ったら良いか分からなければまずはここに行くと良いだろう。SUSHI屋台が5~6軒あるのでそれぞれの屋台で少しずつ買って食べ比べる事も可能だ。
ちなみにここまでに出てきた画像のうち、追いマヨネーズ・こりこりイクラ・赤い卵焼きで使っている写真はラムカムヘンナイトマーケットの屋台だ。
D-OKO (ดีโอโกะ) SUSHI
江戸時代にはファストフードの代表格だったといわれている寿司。
このD-OKOという名のSUSHI店は、自分で好みの寿司をチョイスしレジでお会計するまではどこにでもあるSUSHI屋台と同じなのだが、イートインスペースが併設されているため購入後にそのまま店内で食べて行く事も出来るのだ。待ち時間なしのまさにファストフード!江戸時代の文化はここバンコクにおいて面々と受け継がれて…いるわけではなさそうだが…SUSHI屋台は持ち帰りだけというところがほとんどなので、ふらっと立ち寄って小腹を満たせる貴重なSUSHI店だ。
下記2店舗はチャオプラヤーエクスプレスボートの船着き場のすぐそばにあるので、観光中にも気軽に立ち寄り、手早くSUSHIを堪能出来る。
本記事で紹介したチーズSUSHI、マヨネーズでハートが書かれたSUSHIの写真は、このD-OKOのSUSHIメニューだ。
一度は食べてもらいたいSUSHI
これまでに出てきた写真を見ても分かる通り、SUSHIのネタや見た目はかなりバリエーションが豊富だ。ここで紹介出来ていないようなネタもまだまだある事だろう。
タイの「SUSHI」は独自進化を遂げた食文化の一つ。
バンコクへ来たら「タイ料理」を求める方が多いだろうが、日本では決して出会えない「SUSHI」もぜひ味わってもらいたい。