トラート県のチャーン島が「タイ最後の秘境」と名付けられて久しくなります。
「最後」と銘打たれていますが、「最後」と言われてからかなりの年月が経ち、その後も秘境と呼ばれる場所は次々登場しています。
とはいえ、日本語で検索すれば情報が幾つか出てくるので、秘境と呼ぶには厳しい。
私が訪れたピロック(Pilok)という町は、日本語で検索してもあまり情報を掴むことができない、「タイの秘境」と呼ぶにふさわしい辺境です。
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カンチャナブリー県の国境にあるピロック(Pilok)とは
カンチャナブリー県の国境付近といえば、サンクラブリーが比較的知られた町でしょう。
ミャンマー国境に面し少数民族モン族の村もあるサンクラブリー。
全長455メートルという木造橋『モン・ブリッジ』はタイ最長の木造橋で、サンクラブリー最大の見どころ、だそうです。(まだ行ったことありません)
サンクラブリーも十分秘境ではありますが、さらに上をいく秘境がピロック(ปิล๊อก)。
もともと何もなかったこの町に、人が集まり始めた理由は、金の採掘がきっかけです。
タイ人がミャンマー人を使い金の採掘を始め、最盛期はこの町に多くの人々が仕事を求めてやってきました。
ところが金の採掘量が減り、それに併せ町を出て行く人が後を絶たなくったピロックは、賑わっていた頃が嘘のように平穏な町に戻ったそうです。
バンコクとピロックの位置関係は以下Googleマップでご確認ください。
悪路の山道を進みピロックへ進むとDTACは使用不可
鉱山は閉山し、住むのは数少ない村人だけになったピロックが、タイ人たちに注目され始めたのは2〜3年前。
国境沿いの、しかも山間にある村だけに、タイ人であっても簡単に行くことができないピロックは秘境としてSNSで広がり、訪れるタイ人が徐々に増えるようになりました。
サンクラブリーでさえ交通の便が悪いのに、ピロックはさらに難関。
バンコクから直通でピロックまで行くバスはなく、カンチャナブリーとトンパープンでの2度乗り換えなければなりません。
車ならバンコクから7時間以上は覚悟しなければならないうえ、トンパープンからピロックへと続く山間の道はアスファルトが窪んでいる箇所がいくつもあり、運転に神経を尖らせなければならない悪路です。
山道の途中にある2箇所のトイレ休憩所では、それまでほとんど入らなかった携帯の電波がここで使用できるようになるのですが、通信会社DTACの電波はここを最後に、ピピロックへ向かうにつれ使用できなくなってしまいます。
AISなど他通信会社なら使えるのですが、私はDTACだったためここからピロックでの滞在中は、ほとんどスマホが使えませんでした…。
歩いて周れる小さな村
途中カンチャナブリーで一泊し、朝9時ごろに出発した私の車がピロークに到着したのは午後4時ごろ。
山間のピロックは天候が芳しくなく、私が到着すると霧に覆われ数十メートル先が見えないほど。
ポリスボックス近くのパーキングエリアに車を停めると、徒歩で村を散策してみました。
ゆっくり歩いても20分程度で周れる小さな村。
中心部には池がありその北側にホームステイや商店、飲食店が集中しています。
予約したホームステイの場所を確認すべくGoogleマップを見たのですが、僻地だけに宿泊施設の位置情報はほとんどありません。
日常生活でGoogleマップ頼りに生きている私は、小さな村とはいえGoogleマップが使えないのは困ること甚だしい。
ちなみに、Googleマップは電波が入らなくともオフラインで使えるので、DTAC利用者は絶望せずGoogleマップを開いてください。
ツアーリストインフォメーションがあればピロックの地図でもあろうかと、霧に包まれ視界が悪いピロックうろうろしてみたけれど小さな村にそんなものがあるはずもなく、商店の方に聞き込み調査を行い、ホームステイにたどり着く事ができました。
私が予約したのは『Nut eng tong House(ณัต เอ่ง ต่อง เฮ้าส์)』。
部屋数は全5部屋で、初老の女性が営んでいる可愛いホームステイです。
ホームステイのオーナーである彼女いわく、週末になるとほとんどのホームステイがフルブッキングなるそうなので、週末や祝祭日にピロックへ訪れるなら予約は必須です。
ミャンマーとの国境に面している村だけに、頬に白い粉(タナカ)を塗っているミャンマー人が少なくありません。
また、商店ではミャンマーから仕入れた物産を販売していたり、タイ料理レストランでミャンマーから仕入れたエビやカニを楽しめるのは、国境の町ピロックだからこそでしょう。
宿泊した『Nut eng tong House』のオーナーが私に教えてくれたおすすめのタイ料理レストランは、ホームステイからすぐの場所にある『クルーアジェーニー(ครัวเจ๊ณี)』でした。
プーパッポンカリーやエビの胡椒炒めで使われているカニやエビは、先に述べたようにミャンマーから仕入れた食材だそうです。
『クルーアジェーニー』の詳細は激旨!タイ食堂で紹介しています。
http://xn—-ieu8ap1dyfzkv469awe1a.com/pilok/
ピロックの見どころとベストシーズン
ピロックの町自体は小さいものの、近くの国境からはミャンマーの風景が見渡せる、そうです。
私が訪れたときはあいにくの天気だったうえ、濃霧が発生していたので視界ほぼゼロ。
宿泊した『Nut eng tong House』のオーナーに伺ったところ、観光のベストシーズンは乾季の11月から4月ごろ。
私が訪れたときは雨が1週間ほど続いていたそうで、滞在した2日間とも晴れ間を見れることはありませんでした。
バンコクで1週間続けて曇天や雨天が続くことはほとんどないので、山間ならではの天候なのでしょう。
ピローク付近の観光スポットは数十キロ離れたトンパープン国立公園や、この国立公園にある海抜1249メートルのカオチャンプアック(เขาช้างเผือก)も有名。
カオチャンプアックは難易度の高いトレッキングの山として知られています。
カオチャンプアックが開山しているのは11月から1月までの3ヶ月のみ。(期間の詳細は要問い合わせ)
一人でのトレッキングは危険ですので、タイ人ガイドを付けて臨んでください。
Agodaなど予約サイトは扱っていないピロックの宿泊施設
私が数えただけでも、ピロックにあるホームステイは12軒ほどでした。
以下の記事で12軒のホームステイを外観写真とともに、電話番号やFacebookページを紹介しています。
ここでいう「ホームステイ」とは、「学生が一般家庭に寄宿して生活を体験する」という一般的な意味のものではなく、ゲストハウスに近い宿泊施設をさします。
ゲストハウスと異なるのはドミトリー部屋が設けられていない点ぐらいで、ほぼ同じような宿泊施設です。
執筆時点では、Agodaなど宿泊予約サイトに掲載されているピロックのホームステイ0軒。
直接ホームステイに連絡を取り、予約するしか方法はありません。
英語でやりとりできるホームステイはかなり少ないため、予約にはタイ語でのメールおよび電話でのやりとりが必須となります。
私がピロックに滞在時に営業していたホームステイやゲストハウスを、以下の記事でまとめました。
ピロックの地図を作りました!
現地にインフォメーションセンターもなければ、日本語での情報がネット上にほとんどない場所なので、町の地図を私自身の手で制作してみました。
ゲストハウスの場所を確認する程度ならこの地図で十分です。
バンコクからピロックへの行き方
バンコクからピロックへの交通手段は、レンタカーなど自分で車を手配するか、バスを利用するかのどちらか。
私は車で向かいましたが、バスで向かう場合、まずはバンコクのバスターミナル(モーチットやエカマイバスターミナル)からカンチャナブリーバスターミナルを目指します。
カンチャナブリーバスターミナルから次に目指すのは、トンパープン(ทองผาภูมิ)という街。
バスではなくバンが発着しており、乗り場はバスターミナル外です。以下の写真を参考にしてください。
カンチャナブリー市街地からトンパープンまでのバンは取材時点で115バーツで、1時間に1本程度の頻度でバンが出発し、所要時間はおよそ2時間です。
トンパープンは小さな街なのでピロック行きのソンテウ出発まで時間があるようなら、散策してみてもいいかも。
近くにあるお寺ワット・ターカヌン(วัดท่าขนุน)は見事で、お寺に興味がなくとも見ごたえのある存在感です。
ただ、野犬が多いので苦手な方はご注意を…。
トンパープンからピロークまでの道中はバンではなく、なんとソンテウ!
写真現像店のコダック前から発着し、黄色いソンテウがピローク行きです。
山道を1時間ほど走るのにソンテウってけっこう辛いような気もするのですが、私は乗っていないので他人事です!
ピロックへ行くなら持参しておきたい必須品
乾季なら必要ないかもしれませんが、雨季に訪れるならピーチサンダルのようなスリッパや傘、レインコートは持参しておくほうがいいでしょう。
小さな町とはいえビールなどのアルコールは販売しています。
ホームステイにフリーwifiは設置されていないので、滞在中ネットを使う必要があるなら、AISやTRUE(DTAC以外)のSIMを入れておく必要があります。
私が滞在した2日間はずっと小雨がぱらついていたあいにくの天候でした。
国境の景色を眺めてみたいし、トンパープン国立公園にも立ち寄ってみたいので、乾季に入ったらふたたび訪れてみます。
次回ピロックを紹介する記事では美しい国境の風景をお見せできるでしょう!(希望)